空き家の急増が社会問題にまで発展している昨今の日本。そしてそれに伴い、空き家をどうにか有効活用できないかと模索する人も増えていますね。

総務省の「住宅・土地統計調査」によると、平成25年の時点で日本の空き家総数は820万戸に達しており、平成30年には、1,000万戸に到達するのではと予測されています!空き家は、倒壊の恐れがあるだけでなく、治安の悪化や町のスラム化(空き家に侵入して好き勝手する不審者が増える)の懸念があり、また個人規模で言っても、固定資産税だけが延々と徴収されていく不毛さがありますね。

外国人観光客増加に基づくホテル不足と相まって、昨今は、空き家を宿泊施設として活用する動きが活発になってきています。国から助成金まで出ること、ご存じでしたか?

1 Airbnbだけじゃない!空き家宿泊施設の選択肢の数々!

このような冒頭文で始まる記事は、大抵はAirbnb(エアビーアンドビー)関連の内容でしょう。たしかにAirbnbは、空き家のビジネス化においてとても手軽で参入しやすいものと言えますが、近年はリスクも高まってきています。空き家の活用はAirbn民泊以外にも様々な選択肢が考えられるので、一通り検討してから決めるのが良いですね。

1−1.敷居の低い民泊。仲介サイトはAirbnb以外にもいろいろとある。

まず、空き家の転用ビジネスとして一番最初に検討したいのは、やはり民泊としての利用でしょう。民泊のメリットは、何と言っても「手軽さ」にあります。特殊な施設である必要がなく、「普通の家」ですぐにでもビジネスが開始できるのは、とても大きな魅力です。

さて、民泊というとAirbnb(エアビーアンドビー)ばかりが有名ですが、実は他にも仲介サイトがたくさんあるのをご存じですか?「とまりーな」は体験民泊や農家民泊に特化したサイトですし、「TOMARERU」は国家戦略特区の認可物件だけを扱っています。外国のものになりますが、「HOMESTAY.COM」はホームステイ型民泊だけを集めたサイトとして地位を確立しました。他にも、市区町村が管轄する民泊サイトもあちこちに見つけられます。

1−2.部屋数が多いならシェアハウスのほうが高収益かも?

民泊よりもひと昔前に台頭したシェアハウス。こちらも、空き家の活用先として有効なアイデアです。家具家電が付いているマンスリーマンションと、宿泊者同士で交流できるゲストハウスの良いとこ取りといったこの形態を支持する人々は一定数おり、まだ参入の余地はあるでしょう。あなたの空き家に部屋数が多いなら、シェアハウスと銘打って一括で集客や宣伝、管理を行うほうが、民泊よりも効率が良さそうです。

シェアハウスと民泊の大きな違いは、民泊が短期中心であるのに対してシェアハウスは1ヵ月単位での契約となること。シェアハウスも、仲介サイトがいくつも台頭してきているため、集客はそう難しくありません。

1−3.観光地に立しているならゲストハウスを気ままに経営。

特に沖縄や京都などでは、一軒家規模の物件を使ってゲストハウスを営んでいる事例も少なくありません。

民泊と何が違うのかと問えば大して違いはなく、強いて言えば、ドミトリー(相部屋)を備えているか否か、といった傾向の差が挙げられます。ゲストハウスにはドミトリーを持つものが多く、民泊の場合は「1室1組」の貸し方をすることが多いでしょう。

ゲストハウスの場合、近年は、「ヤフートラベル」や「じゃらん」などのホテル検索サイトに登録して集客する手法が一般化してきています。10パーセント程度の仲介料を徴収されはしますが、自前のホームページでコツコツ集客するよりも経営は安定するでしょう。

1−4.最も簡単なのはライダーハウス。一番穴場かも?

簡易宿泊施設の中でも最も簡素で、つまり経営も容易なのが、「ライダーハウス」ではないでしょうか。日本ではあまり有名ではありませんね。北海道や沖縄に多く見られますが、バイクでツーリング旅行している人向けの宿泊施設です。

ライダーハウスとは、基本的に雑魚寝の施設で、サービス的なもてなしも必要ありません。貯金箱のようなものを置いて無人で経営しているところもあるくらいです。もちろん1泊あたりの収益は安くなりますが、「手間に対する収益効率」という面では上記4つの中で最高かもしれませんね。北海道以外ではライバルがほとんど居ないというのも、経営する際の魅力の1つと言えます。

2 国や地方公共団体からの助成金を活用しよう!

今この時代に空き家の宿泊ビジネスを検討するのは、幸運と言えます!というのも、冒頭文で少し触れたように、空き家の活用に対して、国は助成金を出すようになったのです!

2−1.「空き家対策特別措置法」は誤解されている!

2015年5月26日に執行された「空き家対策特別措置法」をご存じですか?誤解して受け止めている人がとても多いようなのですが…。

2−1−1.「空き家対策特別措置法」は、強制撤去だけが目的ではない。

日本から空き家放置を無くすために、まずは地方自治体が空き家の所有者を突き止め、解体や処分の「勧告」を下します。これに従わない場合は「命令」が下り、それでも無視する場合、たしかに地方自治体は「強制撤去」の権限を持つことになりました。この「強制撤去」の部分のみがニュースではクローズアップされており、「空き家対策特別措置法=空き家強制撤去」と思い込んでいる人が多いようなのですが、そうでもありません!

2−1−2.強制撤去についても段階を踏んで行われる。

まず、強制撤去に関しては、段階を追って行われるため、知らない間にいきなり空き家が解体されるようなことにはなりません。解体という作業に莫大なお金が掛かり、それは自治体の税金負担となるため、自治体側としてもなるべく避けたいのです。

2−1−3.空き家をビジネス活用する人には助成金を支給してくれる!

2つ目の真実として、この「空き家対策特別措置法」は、放置空き家の撤去だけでなく「活用」も目論んでの法律であるということは注目に値します。空き家を進んでビジネス活用しようと考える人に対しては、リフォーム費などに助成金を出してくれるのです!

2−2.助成金の対象は多岐にわたる。しかも民間や個人なら2/3を負担してもらえる!

「空き家対策特別措置法」に基づいて、国土交通省は、助成金を支給してくれます。

誤解してならないのは、これは「解体」の助成金ではなく、「ビジネス活用」のための助成金であるということ。アベノミクスの経済戦略の一環なのです。

この記事は宿泊施設への活用をテーマに取り上げますが、この助成金の対象は、宿泊施設に限りません。交流施設や体験学習施設、創作活動施設、文化施設のための増築・改築をも含みます。

また、リフォーム費用だけでなく、(あなたが地方公共団体の立場であるならば、)空き家・空き建物の所有者の特定に関する費用(交通費、証明書発行閲覧費、通信費、委託費など)も支給されますから、覚えておきましょう。

なお、助成金の支給割合はこのようになっています。

  • 地方自治体の場合→国費:地方公共団体=1:1
  • 民間企業または個人の場合→国費:地方公共団体:民間(個人)=1:1:1

個人で改築をする場合、費用の2/3は負担してもらえるということです!これは非常に嬉しいですね。

2−3.「助成金貧乏」に気を付けて!ビジネスは計画的に!

助成金が出るなら最大限に有効活用したいところですが、助成金が出るからといってビジネスの失敗(赤字)が回避できるということではありません!むしろ逆に、「助成金貧乏」に気を付けてください!

というのも、日本の地方自治体では、国からの助成金を頼りに「道の駅」を造ったり市民ホールを造ったりすれども、大赤字に陥ってしまうことがとても多いのです。これは、ランニングコストの試算が稚拙であったり、収益の予測が甘すぎたりすることで起きています。経営コンサルタントに高い料金を払って企画してもなお、そうなってしまっているのですから、深刻ですね…。これは、「助成金があるから大丈夫だ」と助成金に依存しすぎる気持ちが生み出しているもので、多くの人が陥りがちな過ちであるため、とても注意が必要です!

意識すべき点をまとめてみましょう。

  1. 助成金が出るのはあくまでリフォームなど「初期費用」の一部に過ぎず、ランニングコストは全て自分で負担し続けなければならない。
  2. 2/3を負担してもらえるといっても、たとえばリフォーム費の総額が1,000万円にもなるなら、あなたは300万円以上は負担しなければならない。
  3. あらゆるビジネスは、成功するとは限らず、特に助成金の下りるビジネスは競合者が多くなりがちである。

そのため、あなたの空き家のある地域で宿泊施設を営むとしたらどの程度の収益が見込めるのか、どのような宿泊形態が合っているのか、などを、くれぐれも慎重に検討すべきです。

2−4.相談は誰にすべき?空き家問題のNPO法人がベター。

助成金申請の手続きを含め、空き家活用の相談は誰にすべきなのでしょうか?

相談先の選択肢はいくつもあり、たとえば、市役所などの行政機関、弁護士や司法書士などの法律家、または不動産会社でも話を聞いてくれるところがあります。しかし、行政に直接打診してもなかなか動いてはくれず、法律家の場合は高い報酬が必要となり、どちらもあまり良策とは言えません。

最も無難と言えそうなのは、空き家問題や空き家活用に取り組んでいるNPO法人です。その手の話に詳しく、協力的であるうえ、報酬を取らないことが多いでしょう。そして、NPO法人を介して行政に打診するほうが、助成金の給付許可などは下りやすくなります。

2−5.癒着に注意!リフォーム費などのリサーチは自分でも行おう。

不動産関連の業者は、仲介所、不動産会社、リフォーム会社などがそれぞれ癒着状態にあり、高額な業者を紹介されてしまうことが少なくありません。NPOであってもこれは同様です。さらに、Airbnb(エアビーアンドビー)関連の業者は高いマージンを取ろうとする傾向にあるので、言われるがままに契約するようなことは控えましょう。リフォーム費などは自分でもリサーチし、「この会社のほうが安くてハイクオリティだからこの会社でリフォームしたい」としっかり自己主張をすべきです。

3 法律のカベにどう立ち向かう?カギは「シェアリングエコノミー」の観念!

空き家リフォームの費用を無事負担してもらえたとしても、ビジネスが順風満帆に運ぶとは限りません!というのも、小規模宿泊施設を営もうとしたとき、「旅館業法」という法律のカベが立ちはだかるからです!

3−1.空き家を使うような宿泊施設は、たいてい簡易宿所に該当する。

民泊にせよゲストハウスにせよシェアハウスにせよ、空き家を転用するような小規模の宿泊施設は、旅館業法の中の「簡易宿泊」の規定に則って営業することになっています。簡易宿泊の規定はホテル業や旅館業の規則よりは緩いですが、それでも一定のハードルが!

簡易宿泊の許可条件は、下記のとおりです。

3−1−1.設置の条件。

周囲100m以内に、学校(大学は含まず)、児童福祉施設、公民館、図書館、博物館、青少年育成施設があって、それらの純潔な施設環境が害される恐れがある場合、許可されません。

3−1−2.建物の条件。

  1. 客室の延床面積は、33平方メートル(約18畳)以上あること。(民泊の場合、「1人あたり3.3平方メートル」に緩和される。)
  2. 2段ベッドなど置く場合、上段と下段の間隔がおおむね1m以上あること。
  3. 適当な換気、採光、照明、防湿および排水の設備を有すること。
  4. 泊まれる人数が入れる充分な大きさのお風呂があること。(近隣に銭湯があればこの限りではない。)
  5. 充分な数の洗面台があること。(宿泊者数5人につき1つの洗面台が必要。)
  6. 適当な数のトイレがあること。(宿泊者数5人につき男性用1つ、女性用1つ計2つのトイレが必要。)
  7. その他、都道府県が条例で定めるもの。(各自治体の保健所に行き、「旅館業法の手引き」をもらってきましょう。)

3−1−3.建築基準法の条件。

100平方メートル以上の施設となる場合、簡易宿泊の規定とは別に、建築基準法の条件も満たさなければなりません。「用途変更」の手続きが必要であり、また、建築基準法の条件に適するように改造する必要もあります。建築基準法や都市計画法で定められた立地条件は、下記の用途地域です。

  1. 第一種住宅地域
  2. 第二種住宅地域
  3. 準住居地域
  4. 近隣商業地域
  5. 商業地域
  6. 準工業地域

なお、あなたの空き家がどの用途地域に該当するかは、インターネットで調べることができるので、ご確認ください。

3−1−4.消防法の条件。

さらに、消防の許可を取り、「消防法令適合通知書」をもらう必要もあるのです。

このためには、「消防法令適合通知書交付申請書」を消防庁に提出したのち、立ち入り検査が入ります。通路やホールに物を置いていたり、設備が整っていないと、注意を受けたり設備の設置が命ぜられるのですが、この基準はあいまいで、消防署の担当者によって基準が変わってくるので、事前に問い合わせをして一通りの対策を講じておきましょう。

3−1−5.煩わしく感じるが、専門家に委託せずとも自力で行える。

こうした文面を見ると、とても難解で煩わしく感じてしまいますね!そのため、Airbnb(エアビーアンドビー)のノウハウサイトなどでは、「ですから代行業者に委託しましょう!」「行政書士に委託しましょう!」という展開になるのですが、必ずしもその必要はありません。

落ち着いて1つ1つ取り組んでいけば、自力での調査も申請も充分に可能です。なにしろAirbnbの代行業者なるものが流行する前までは、どの小規模宿泊施設のオーナーも、ほとんど自力で行っていたものなのですから。

3−2.申請は行える。が、許可を得ることは難しい!

申請自体はそう難しくないことと言えますが、「許可を得ること」が難しいのです!

特に、トピック≪建物の条件≫の項を見てもらうとわかるように、5人以上も収容するならもう、「普通の民家」の範囲では済まなくなってきます!トイレを4つ、洗面台を2つも設置するとなると、かなり大規模なリフォームが必要ですね。水回りの整備だけでも、300万円は下らないでしょう。

さらに、「用途地域」が上記6つの中に該当しない場合、これを変更することはもうどうにもできません。

…一体、簡易宿泊の規定を完全に満たすことができる空き家というのは、日本にどのくらい存在するというのでしょうか!?

3−3.許可を取っている小規模宿泊施設は、実はほとんど無いのが実情!

昨今、ニュースなどで、「Airbnb(エアビーアンドビー)民泊ホストの9割以上が無許可である。」と報道されて話題になっていますが、実は、空き家民家をリフォームする類の小規模宿泊施設というのは、民泊に限らずそのほとんどが無許可で営まれているのが実情なのです。

たとえば、昔からある留学生を泊めるホームステイなども、謝礼を受け取るなら「宿泊施設」に抵触し、厳格に言えば簡易宿泊の規定を満たさなければなりません。が、そのようなホストファミリーはおよそ1つも聞いたことがないですね。法律違反を犯していますが、咎められるホストファミリーはおらず、国立の大学と提携していたりNHKのドキュメンタリー番組で取り上げられたりします。

他には、3LDK程度の規模のゲストハウスやシェアハウスは日本に無数にありますが、ほとんどが無認可であり、しかしほとんど営業停止勧告などは受けていません。

3−4.民泊法の制定は敷居を下げそうだが、「国家戦略特区」はアテにはならない…。

空き家再生ビジネスを容易に行えるようにするため、政府は旅館業法とは別に民泊法というものの制定を議論し始めています。

3−4−1.「国家戦略特区」は、現状ではまだ役に立っていない。

先駆けて制定されたのが「国家戦略特区」で、この区域内においては、簡易宿所の規定よりもさらに緩い条件で、認可を得ることができることになりました。が、実情としては、「国家戦略特区」規定は小規模宿泊施設の安全経営にあまり役立っていません…。というのも、この規約に該当する宿泊施設がとても少ないのです。

3−4−2.「国家戦略特区」に制定されている地域とその用途は?

民泊推進のためにいくつかの地域が国家戦略特区に制定されていることは、ニュースでもよく報道されていますね。しかし、地域ごとに「用途」までもが規定されているのをご存じですか?下記に簡潔にまとめてみましょう。

  1. 東京圏(東京都、神奈川県、千葉県成田市):外国人の在留資格の見直しを図り、イノベーションを促進する拠点として。
  2. 関西圏(大阪府、京都府、兵庫県):再生医療をはじめ、高度な先端医療の研究開発拠点として。
  3. 兵庫県養父市:中山間地域における、耕作放棄地の再生などの拠点として。
  4. 新潟県新潟市:農業者の経営基盤の強化、または農地の集積といった農業改革拠点として。
  5. 福岡県福岡市:ベンチャー企業などの雇用条件の整備や起業を促進する、雇用改革拠点として。
  6. 沖縄県:観光リゾート地の整備による、国際観光拠点として。
  7. 秋田県仙北市:最先端の地方創生、または国際交流の促進による農林や医療などの交流拠点として。
  8. 宮城県仙台市:若者、女性、シニア層の起業促進の拠点として。
  9. 愛知県:産業育成のための、教育や雇用の改革拠点として。

このように、多くのAirbnb(エアビーアンドビー)オーナーが意図している外国人観光客向けの用途を持つのはおよそ沖縄しかないため、旅行者向けの内装を整えて申請を出しても、認定が下りないことも多いようです。

なお、今後もエリアは拡大されていくでしょう。

3−4−3.「国家戦略特区」認定には、地域や用途以外にも条件がある。

「国家戦略特区」の認定を授かるためには、簡易宿泊の規定と同じようにいくつかの条件が存在しており、これらをすべて満たさなければなりません。

  1. 賃貸借契約に基づき使用させること。
  2. 宿泊日数が7泊以上の連泊であること。(地域によっては10泊のところも。)
  3. 専有面積が25平方メートル以上であること。
  4. 出入り口や窓が施錠可能な状態であること。
  5. 他の居室との境界が壁造りであること。
  6. 換気、照明、採光、防湿、排水、冷暖房の設備が設置されてあること。
  7. 寝具、台所、便所、家電が設置されてあること。
  8. 外国語の利用規約、緊急時マニュアルが準備されてあること。
  9. 地域の民泊条例に従うこと。たとえば大阪の民泊条例では、チェックインの対面対応を義務化している。

専有面積の条件が「25平方メートル以上」と緩和されたことで、「ワンルームアパートでの民泊が許可された!」と話題になりましたが、実情は厳しいです。たとえば「7泊以上の連泊」という条件に絞って集客をしなければならないとなると、ほとんどの外国人観光客が対象から外れてしまうため、実質的にはAirbnb(エアビーアンドビー)民泊用の施設として適していません。そのため、特区内の物件においても、許可申請を取った物件はほとんど数件しか無かったという散々たる結果となりました。

こうしたことから、「国家戦略特区」の認定を得て小規模宿泊施設を運営するというのは、現状ではまだ、現実的に無理があると言えます。

3−4.ビジネス色の薄い施設は、咎められることが少ない。

無許可にもかかわらず営業停止に追いやられないゲストハウスやシェアハウスの特徴は、「ビジネス色が薄い」ということに尽きます。どこも、1泊2,000円程度の安い料金しか取らず、オーナー家族がなんとか生活できる程度の収入しか得ていないのです。そのような慎ましい宿泊施設では、宿泊客からも近隣住民からもクレームが入ることは少なく、営業停止には追い込まれません。

これはAirbnb(エアビーアンドビー)でも同様な傾向があり、投機的なオーナーの経営する家主不在型民泊ばかりが、通報の対象となっています。

3−5.小規模宿泊施設を経営するなら、1泊2,000円程度のつもりで。

(日本であれば)地域によらず、1泊2,000円までの宿泊施設に対して消費者は、「良心的な価格だな」と感じます。設備やサービスが粗末であるとしても、もちろん空き家を再生したような古めかしい建物であっても、あまり文句は出ません。

たとえば日本の地方には、再生した古民家で、自給自足のような取り組みをしながら生活するシェアハウスが増えてきています。こうしたところでは、宿泊客に建物の改装を手伝ってもらったりしていますが、それでも宿泊客から不満は出ないのです。これは、その改装作業が「人件費の節約」という卑しいものではなく、「自給自足への取り組み」を意図しているため。そのような活動に興味の強い人が、こうした値段・こうしたタイプの宿泊施設には集まりやすいので、クレームのような話にはなりません。

3−6.「儲ける」ではなく「活用する」「助け合う」がシェアリングエコノミーの真意。

つまり、何らかの人道的なコンセプトを持っている、または宿泊客に対して奉仕的な
精神を持っている施設は、旅館業法の許可が取れなくても成功しています。空き家は無事に活用され、オーナーも寝食を保っていられているのです。

実は、「シェアリングエコノミー」という昨今ちらほら耳にする言葉が、本来はこうしたもののことなのですが、ご存じでしたか?

日本の場合、シェアリングエコノミーは、「手持ちぶたさなモノ・空間・サービスで効率よく儲けよう」というビジネスの新形態として認識されているケースが多いのですが、起源である欧米諸国では、ビジネスというよりも「価値観」のことであり、「儲けよう」ではなく「儲けなくても暮らせる方法を考えよう」「助け合うことで必要なモノやサービスを安価にまかなおう」といった精神的スタンスのことなのです!

3−7.「どのように社会貢献するか」を考えよう。

ですから、空き家を改装して小規模宿泊施設を運営しようと目論むなら、「どのように社会貢献するか」を考えると良いでしょう。困っている人や、何かに取り組もうとしている人の助力になるような施設にするのです。

たとえば、安宿のない地域に1泊2,000円程度のゲストハウスを造るのは、社会貢献の1つと言えます。個室が1ヵ月50,000円以下のシェアハウスも、同じような貢献ができるでしょう。

他には、古い空き家の多い地方の場合、Iターン希望者が移住の模擬体験をするための、家庭的で安価な宿泊施設を提供するというのも有意義なアイデアです。このようなものの場合、地方自治体や移住者誘致活動のNPO団体などに掛け合うと、強力なバックアップが得られるかもしれませんね!社会貢献的な意図で営む場合、近隣住民からの理解や協力もとても得やすいです。

民泊スタートアップnaviでは、主に民泊を中心に様々な方面から小規模宿泊施設を解説しています。昨今話題のAirbnbはもちろんのこと、それ以外のスタイルの民泊についても情報提供していますので、トップページからお好みのテーマの記事を探してみてください。

まとめ。

【Airbnbだけじゃない!空き家宿泊施設の選択肢の数々!】

  1. 民泊はやはり参入の敷居が低い。また、仲介サイトはAirbnb(エアビーアンドビー)以外にもいろいろとある。
  2. 空き家に部屋数が多いなら、民泊よりもシェアハウスのほうが高収益かも?
  3. 沖縄など観光地に立しているなら、ゲストハウスを気ままに経営するのも良いアイデア。
  4. あまり知られていないが、最も簡単なのはライダーハウス。一番穴場かも?

【国や地方公共団体からの助成金を活用しよう!】

  1. 「空き家対策特別措置法」はほとんどの人に誤解されている!
  2. 「空き家対策特別措置法」は、空き家の強制撤去だけが目的ではない。
  3. 強制撤去についても、段階を踏んで行われるのでそう恐れる必要はない。
  4. 「空き家対策特別措置法」の目玉はコレ!空き家をビジネス活用する人には助成金を支給してくれる!
  5. 助成金の対象は宿泊施設のみでなく多岐にわたる。しかも民間や個人なら2/3を負担してもらえる!地方公共団体の場合は国と折半。
  6. 「助成金貧乏」(助成金に依存して採算の取れない事業を行ってしまうこと)に気を付けて!ビジネスは計画的に!意識すべき点は下記の3つ。
    (1)助成金が出るのはあくまでリフォームなどの「初期費用」の一部に過ぎず、以降のランニングコストは全て自分で負担し続けなければならない。
    (2)費用の2/3を負担してもらえるといっても、たとえばリフォーム費の総額が1,000万円なら、あなたも300万円以上は負担しなければならない。
    (3)あらゆるビジネスは、成功が約束されたものではなく、特に助成金の下りるビジネスは競合者が多くなりがちなので慎重に!
  7. 助成金申請や空き家事業の相談は誰にすべき?行政や弁護士よりも空き家問題のNPO団体がベター。
  8. 不動産関連会社同士の癒着に注意!されるがままにはせず、リフォーム費などのリサーチは自分でも行おう。

【法律(旅館業法)のカベにどう立ち向かう?】

  1. 空き家を使うような宿泊施設は、たいてい簡易宿所に該当する。
  2. 簡易宿泊などの規定を満たす条件。

    ◆宿泊施設設置の条件:周囲100m以内に、学校関連施設や公共施設があって、それらの
    純潔な施設環境が害される恐れがある場合、許可されない。

    ◆建物の条件:
    ・客室の延床面積は、33㎡(約18畳)以上あること。(民泊の場合、「1人あたり
    3.3㎡」に緩和される。)
    ・2段ベッドを置く場合、上段と下段の間隔がおおむね1m以上あること。
    ・換気、採光、照明、防湿、排水の適当な設備を有すること。
    ・収容人数が入れる充分な大きさのお風呂があること。(近くに銭湯があれば免除。)
    ・適当な数の洗面台があること。(宿泊者数5人につき1つ必要。)
    ・適当な数のトイレがあること。(宿泊者数5人につき男性用1つ、女性用1つ計2つ必要。)
    ・その他、都道府県が条例で定める条件を満たすこと。(各自治体の保健所に行き、
    「旅館業法の手引き」をもらってこよう。)

    ◆建築基準法の条件:100㎡以上の施設となる場合、簡易宿泊の規定とは別に、建築基準法
    の条件も満たさなければならない。

    ◆消防法の条件:さらに、消防の許可を取り、「消防法令適合通知書」をもらう必要もある。

    ◆注釈:こうして見ると煩わしく感じるが、代行業者や行政書士に委託せずとも自力で行える。
    ・申請は行える。が、許可を得ることはとても難しい!
    ・許可を取っている小規模宿泊施設は、実はほとんど存在していないのが実情!
    ・民泊法の制定によって敷居は下がりそうだが、「国家戦略特区」はアテにはならない…。
    ・「国家戦略特区」は、現状ではまだほとんど役に立っていないのが実情。
    ・「国家戦略特区」に制定されている地域とその用途は?東京圏(東京都、神奈川県、
    千葉県成田市)、関西圏(大阪府、京都府、兵庫県)、兵庫県養父市、新潟県新潟市、
    福岡県福岡市、沖縄県、秋田県仙北市、宮城県仙台市、愛知県が該当するが、観光目的
    なのは沖縄くらいで、それ以外の地域はビジネスや技術振興などの目的でのみ民泊が許可
    される。

  3. 「国家戦略特区」認定には、地域や用途以外にもさらに条件がある。
    (1)賃貸借契約に基づいて使用させること。
    (2)宿泊日数が7泊(連泊)以上であること。(地域によっては10泊のところも。)
    (3)専有面積が25㎡以上であること。
    (4)出入り口や窓が施錠可能であること。
    (5)他の居室との境界が、壁面であること。
    (6)換気、照明、採光、防湿、排水、冷暖房の設備が適切に設置されてあること。
    (7)寝具、台所、家電、トイレが設置されてあること。
    (8)外国語の利用規約や緊急時マニュアルが準備されてあること。
    (9)地域の民泊条例に従うこと。たとえば大阪の民泊条例では、チェックインの対面対応が
    義務化されている。
  4. 同じ小規模宿泊施設でも、ビジネス色の薄い施設は咎められることが少ない。
  5. そのため、小規模宿泊施設を経営するなら1泊2,000円程度のつもりでやるのが良い。
  6. 「儲ける」ではなく「活用する」「助け合う」がシェアリングエコノミーの真意。そうした社会的意義がないと継続は困難。
  7. 空き家で宿泊施設を経営するなら、「どのように社会貢献するか」を考えよう。

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