民法の中で禁止されているのに、なぜか日本政府から特例扱いされ続けてきている文化があります。実はそれが民泊

Airbnb(エアビーアンドビー)民泊の影響から、違法か合法かの論争が昨今も絶えませんが、2000年初頭から何度かの規制緩和を経てきており、2017年に制定が予定されている民泊新法は、大きく分けて言えばこれが4度目の規制緩和。

近隣トラブルを多発させるエアビーアンドビー(トラブルが多いのはもっぱら家主府座型民泊です)により、日本人世論の民泊への反感は過去最高潮の風向きなのに、日本政府は逆に今、過去最高の規制緩和を目論んでいます。

日本政府にとって民泊は、インバウンドによる「経済成長」と「日本国民のグローバル化」という二つの成長戦略を果たすために、重要なツールと位置付けているようです。

1 2000年初頭:農家民泊の普及をもたらした最初の大規模規制緩和。

民泊が規制緩和され社会に認められた新たな国際交流に!

日本政府が最初に取り組んだ民泊への規制緩和は、農家民泊の開業に関するものでした。これは、1度・1つのルール変更に留まらず、旅館業法の枠も超え、道路運送法など他の省庁をも巻き込んで長期間にわたって進められた、とても大型のものです。

  1. 2003年:旅館業法上の客室面積規制の撤廃。
  2. 旅館業法上の認可を得るための延べ床面積の条件が、農家民泊(農家民宿)に限っては33㎡以下でも良いように規制緩和されました。33㎡とは約20畳のことで、8畳間が1つ、6畳間が2つでようやくクリアできる数字です。

  3. 2003年:宿泊者の送迎の規制緩和。
  4. 従来、農家民泊(農家民宿)の宿泊客を無料送迎することは、道路運送法の観点から違反となっていました。いわゆる「白タク」に抵触するのです。これが、農家民泊においては無認可で送迎しても良いように規制緩和されました。

  5. 2003年:農家民宿が行う体験ツアーの販売を、旅行業法から除外。
  6. 体験プログラムを宣伝・販売することは、旅行業法の認可を取得した企業しか行うことが許されていません。しかしこれも、農家民泊(農家民宿)に関しては旅行業法の取得を得ずに行うことが許されるように規制緩和されています。

  7. 2005年:農業生産法人の業務の1つとして民宿経営が認められる。
  8. 本来、農業従事者は宿泊施設の経営を兼業することが許されていません。しかし、農家民泊(農家民宿)に関しては経営しても違法扱いされないことになりました。

  9. 2007年:建築基準法上の内壁規制の撤廃。
  10. 建築基準法では、囲炉裏や茅葺き屋根などのある古民家での宿泊施設経営には、防火加工を義務付けています。しかし、小規模かつ農家民泊(農家民宿)であるならば、リフォーム無しのそのままの家屋で営業ができるように規制緩和されました。

  11. 2007年:消防用設備に関する規制の緩和。
  12. 従来、宿泊施設には誘導灯(緑色の非常口ランプ)の設置が義務付けられています。しかしこれ、農家民泊には似合わないですよね。地域の消防長または消防署長の判断によっては、誘導灯の設置も不要となっています。

厳密に言えば、これらは「農家民宿」に対する規制緩和だったのですが、要するにこの規制緩和により、一般農家が民宿めいたことを営む「農家民泊」が急速に台頭していったのです。

この規制緩和の影響はすさまじいもので、宿泊施設としてそれなりに立派にしつらえられた農家民宿よりも、一般宅で簡素に営まれる農家民泊のほうが宿泊利用者からのウケが良かったため、農家民宿の人々が自身を農家民泊と名乗るようになったほど。

2 2013年:国家戦略特別区域法に基づく「特区民泊」法案がスタート。

民泊が規制緩和され社会に認められた新たな国際交流に!

Airbnb(エアビーアンドビー)ホストなど民泊関連者なら周知の特区民泊法案。実はこれ、2013年に制定されています。2013年と言えば、まだエアビーアンドビー社の日本支社が出来る前であり、日本にエアビーアンドビー・ブームが起こる前のこと。

そんな時期にすでに日本政府は、農家民泊とは異なるベクトルの都市型民泊の推進プランを打ち出していたのです。

とはいえ、実際にこの法案を活用して特区民泊がスタートしたのは、2016年のこと。
2016年1月に東京都台東区が特区民泊をスタートし、同年4月に大阪府(大阪市を除く)が続いています。

2-1.特区民泊で規制緩和された旅館業法認可の条件。

特区民泊の認可を取得するために必要な経営条件は、下記の通りです。

  1. 賃貸借契約およびこれに付随する契約に基づいて、経営すること。
  2. 7日から10日までの範囲内で、該当地区の定めた日数制限を守ること。
  3. 一居室の延べ床面積は、25㎡以上であること。
  4. 出入り口および窓は、カギを掛けることができる形状のものであること。
  5. 出入り口および窓を除き、居室と他居室、廊下などとの境が壁造りとなっていること。
  6. 適切な換気、採光、照明、防湿、排水、暖房および冷房の設備を有していること。
  7. キッチン、浴室、トイレおよび洗面設備を有していること。
  8. 寝具、テーブル、いす、収納家具、調理のために必要な器具または設備および、清掃に必要な器具を有していること。

2-2.特区民泊のメリットは、具体的にいうとどんなこと?

従来の旅館業法(簡易宿泊)の条件に比べて、どんな規制緩和が為されたのでしょうか?

  1. 消防法上の規制が無い。高額な消防設備などが不要になった。
  2. 用途地域の規制が無い。駅前や繁華街でなくても認可が下りるようになった。
  3. 延べ床面積の規制が緩和。33㎡から25㎡に縮小し、ワンルーム物件でも可能となった。

2-3.「宿泊日数7日以上」という制限では、誰も認可を取得したがらない・・・。

しかし、実際に特区民泊法を活用した認可民泊は、ほとんど増えませんでした・・・。これは、「7日以上」という日数制限が大きなネックになったと分析されましたが、その後「2泊以上」までさらに規制緩和されたあとも認可民泊が増えないところをみると、問題はもっと他にあるようです。

特区民泊法は、大きな話題となりあちこちで報道されましたが、その実、ほとんど意味をなさなかったと言えるでしょう。

3 2016年4月:旅館業法施行令の規制緩和がスタート。

民泊が規制緩和され社会に認められた新たな国際交流に!

実質的には特区民泊法のスタートと相次ぐような形で、2016年4月、旅館業法施行令の規制緩和も制定さました。これにより民泊施設は、旅館業法(簡易宿泊)の認可を取得しやすくなったのです。

3-1.旅館業法施行令の規制緩和の内容。

第三の手で規制緩和された内容は、下記の2つです。

  1. 玄関帳場(フロント)の設置が不要となった。
  2. 延べ床面積は、宿泊人数10人未満の小規模施設については「1人あたり3.3㎡」以上に緩和。

3-2.盛り立てるニュースとは裏腹に、認可取得にこぎつけたホストはほぼ皆無!

玄関帳場(フロント)の設置義務が規制緩和されたことで、いよいよ一般家屋や普通のマンションでも旅館業法(簡易宿泊)の認可を取得しやすくなりました。延べ床面積の緩和に対しても、「これは事実上、ワンルーム民泊の解禁!」などと大きな話題になりました。

が、施行から半年場が経って、驚愕するような結果となっています。なんと、これほど規制緩和が進んだにも関わらず、Airbnb(エアビーアンドビー)日本市場の認可物件の割合は、未だ1パーセント以下!99%以上の民泊物件が、無許可で営まれているのです。

多大な労力を費やして法律を改定し規制緩和を進めてきた日本政府もこれには怒り心頭かと思いきや、日本政府はさらに緩い条件への規制緩和を検討しています。

4 2017年:さらなる規制緩和を施した民泊新法が制定される予定。

民泊が規制緩和され社会に認められた新たな国際交流に!

2017年、日本政府による民泊規制緩和の第四の手が打たれる見込みとなっています。その名を民泊新法と言いますが、うまくいかなかった特区民泊法や旅館業法改定の反省を踏まえ、かなり大胆な規制緩和となる見込みです。

4-1.民泊新法の具体的な内容は?

民泊新法は現在まだ制定の途中ですが、大枠はすでに発表されています。

  1. 一定の要件を満たすこと。(一定の要件:年間営業日数が90~180日程度の上限に制限される見込み。宿泊定員が4~8人程度に制限される見込み。)
  2. 営業中(ゲストの滞在中)は常にホストファミリーが同居していること。または家主不在型民泊の場合、民泊施設管理者(民泊代行業者の類似業者)に業務を委託する必要がある。
  3. 宿帳の作成・保存。(外国人ゲストの場合、パスポートのコピーの保存も必須。)
  4. 最低限の衛生管理。(掃除・整頓のこと。)
  5. 民泊ゲストに対してハウスルールの説明。
  6. 表札などを掲示し、近隣住民に民泊経営を告知する。
  7. 近隣住民からの苦情受付窓口を設ける。
  8. 民泊施設に法令・規約・管理規約違反などがないか、常に確認をする。

これらを守りさえすれば、誰でも気軽に民泊を営むことができるようになるのです。

4-2.ホームステイ型民泊にとっては大幅な規制緩和。家主不在型ホストにとってはむしろ規制強化?

民泊新法の内容を分析してみると、ホームステイ型か家主不在型かによって規制内容の厳しさに差が出てくることになります。

ホームステイ型民泊のホストにとっては、8つの条件はどれも、そう厳しいものではないでしょう。これまでの運営を継続すればそれだけで規制を守れる人が多いはずです。年間営業日数の制限に関しては、制定される日数によっては痛手になりますが、赤字になることはないのでそう大きな問題にはなりません。

家主不在型のホストにとっては、チェックインの無人対応が許されなくなるため、2016年4月の旅館業法規制緩和よりも厳しいものとなります。必ず民泊施設管理者を雇わなければならず、これは年間180日程度の営業制限では収益上非常に大きな痛手となるでしょう。計算上、一般的な宿泊価格と家賃、代行手数料では黒字が出せなくなりそうです。

4-3.最も大きな規制緩和は、「認可」を取得する必要性がなくなり、「届け出」だけで良くなること。

民泊新法における最も大きな規制緩和は、「旅館業法上の認可を取得」する必要性がなくなり、自治体に「届け出」を出すだけでよくなることです。特に立ち入り審査や証明書の提出などをしなくても、書類を出すだけで「届け出」は完了します。実質的に、無許可での民泊が合法化されたのと同じようなものと言えるでしょう。

5 誤解しないで!日本政府が推し進めているのは、民泊ビジネスの拡大ではなく民泊文化の拡大!

民泊が規制緩和され社会に認められた新たな国際交流に!

民泊新法の制定を間近に控えて、民泊代行業者はにわかに活気づいています。しかし、誤解は禁物です!日本政府が目論んでいることは「民泊ビジネスの拡大」ではなく、「民泊文化の拡大」なのです。

5-1.日本政府は、民泊解禁によってグローバル化を進めたいだけ。

日本政府は、民泊ビジネスを奨励しようとしているわけではありません。それは、「年間営業日数」(おそらく90~180日程度となる)という制限にみてとれます。

これでは、一人ひとりのホストはそう大きく稼ぐことはできません。それでも不足しているホテルの穴埋めをするためには、より多くの家庭が民泊受け入れに門戸を開くことが必須となります。これにより、日本の多くの家族が家庭で国際交流を行えるようにしたいようです。

5-2.規制緩和と言っても、ビジネスとしての民泊は厳しくなる。

年間営業日数が180日程度に制限され、さらには民泊施設管理者への委託が必須となると、ほとんどの家主不在型民泊はまともに黒字を出せなくなるでしょう。

要するに日本政府は、一般家庭での民泊経営を大幅に規制緩和しつつも、投機型民泊に関しては規制強化をするつもりなのです。国際交流にももてなしにも興味がなく、あくまでビジネス目的で経営しているホストの方々は、くれぐれもご注意ください。

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まとめ。

民泊が規制緩和され社会に認められた新たな国際交流に!

【農家民泊の普及をもたらした最初の大規模規制緩和。】

  1. 2003年→旅館業法上の客室面積規制の撤廃。
  2. 2003年→宿泊者の送迎の規制緩和。
  3. 2003年→農家民泊が行う体験ツアーの販売を、旅行業法から除外。
  4. 2005年→農業生産法人の業務の1つとして民泊経営が認められる。
  5. 2007年→建築基準法上の内壁規制の撤廃。
  6. 2007年→消防用設備に関する規制の緩和。

【2013年:国家戦略特別区域法に基づく「特区民泊」法案がスタート。】
・特区民泊のメリットを具体的にあげると?

  1. 消防法上の規制が無い。高額な消防設備などは不要に。
  2. 用途地域の規制が無い。駅前や繁華街でなくても認可取得可能に。
  3. 延べ床面積の規制が緩和。33㎡から25㎡に縮小し、ワンルーム物件でも可能となった。

・しかし、「宿泊日数7日以上」という制限では、誰も認可を取得したがらない・・・。

【2016年4月:旅館業法施行令による規制緩和がスタート。】
・旅館業法施行令の規制緩和の内容は?

  1. 玄関帳場(フロント)の設置が不要に。
  2. 延べ床面積が、宿泊人数10人未満の小規模施設については「1人あたり3.3㎡」以上に緩和。

・盛り立てる報道とは裏腹に、これでも認可取得にこぎつけたホストはほぼ皆無!

【2017年:さらなる規制緩和を施した「民泊新法」が制定される予定。】
・民泊新法の具体的な内容は?

  1. 一定の要件を満たすこと。(一定の要件とは:年間営業日数が最大90~180日程度まで制限される見込み。宿泊定員が最大4~8人程度に制限される見込み。)
  2. 営業中は常にホストファミリーが同居していること。または家主不在型民泊の場合、民泊施設管理者に業務を委託すること。
  3. 宿帳の作成・保存。(外国人ゲストの場合、パスポートのコピーの保存も。)
  4. 最低限の衛生管理。(掃除・整頓のこと。)
  5. 民泊ゲストに対してハウスルールを説明する。
  6. 表札などを掲示し、近隣住民に民泊経営を告知する。
  7. 近隣住民からの苦情受付窓口を設ける。
  8. 民泊施設に法令・規約・管理規約違反などがないか、常に確認をする。

・ホームステイ型民泊にとっては大幅な規制緩和。しかし家主不在型ホストにとってはむしろ規制強化と言える。
・民泊新法の最も大きな規制緩和は、「認可」取得が不要になり「届け出」だけで良くなること。

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