民泊といえば、個人が趣味の延長線上で営む小さなビジネスというイメージあります。実情として、あまり大きな利益の出せるものではありません。しかし、世の中には民泊を、莫大な利益を生み出すための事業コンテンツとして本格的に扱う事例もあるのです。

日本におけるその先駆けは、2000年代初頭に台頭した農家民泊ですが、Airbnb(エアビーアンドビー)の世界的なムーヴメントを受けて、さらに多くの企業が、さらに大きな事業を展開しはじめました。

民泊は今後、どのような展開を見せていくのでしょうか?

1 最初に起こった民泊事業は、村おこしを目的とした農家民泊。

民泊を事業として本格的に行っている事例。

日本において、民泊を事業として大々的に扱いはじめたのは、2000年初頭にみる各農村地域の農家民泊プロジェクトと言えるでしょう。

1-1.農家民泊は家単位ではなく、自治体が取り仕切っていることがもっぱら。

民泊というのは個人事業のイメージがありますが、農家民泊の場合、組織というか、協同組合のようなものに加盟しながら営むのが一般的です。

各家庭としては小さな個人事業ですが、その各農家民泊家庭を束ねている組合としては、「大きな」とまでは言えなくても「中規模程度の事業」と呼ぶことができるでしょう。

1-2.組合の民泊事業の目的は、村おこしや地域の活性化。

幾つかの個を束ねる組織の目的は、多くの場合、「より大きな利益」ですが、農家民泊プロジェクトの組合の場合、そういう傾向は低いです。

日本各地の農家民泊プロジェクトは多くの場合、「地域の活性化」を目的としており、どちらかといえば公共事業のような意味合いが強くなっています。農家民泊プロジェクトを束ねる組合は、自身の利益を追求するのが目的ではなく、各農家民泊家庭が経済的にうるおうことを応援し、または地域の他の商店や交通機関など、地域全体の経済がうるおい、人が多く流入してくることを目指しています。

農家民泊は、交流や自然体験、Iターン希望者への農村紹介など、様々な社会的意義を内包していますが、そうした社会的貢献を果たしつつ地域や農家個々の経済が潤った、非常に優秀な事業の例と言えそうです。

日本政府が農家民泊に対し、規制緩和や助成金などで熱心にバックアップし続けてきたのも頷けますね。

2 民泊は巨大ビジネスになる!数多くの大手企業が民泊事業に参入。

民泊を事業として本格的に行っている事例。

2015年前後に起きた空前のAirbnb(エアビーアンドビー)ブームのあおりを受けて、新たな民泊事業の流れが起きました。社会的意義や地域の活性化といったものではなく、今度は意欲的な資本主義企業による、ビジネスとしての利益追求を目的とした事業展開です。

建設関連、不動産関連、旅行関連をはじめとした大きな企業が、ここ1年ほどの間に相次いで民泊事業への参入や買収を発表し、展開し始めています。

以下はその一例です。

  1. エイブルが合法民泊だけを扱う国産民泊仲介サイト「TOMARERU」と業務提携。
  2. 2014年5月22日、不動産企業大手の「エイブル」が、同じく国産民泊サイトとしては最大手とも言える「TOMARERU」との業務提携を発表しました。

  3. アパマンショップHDが民泊事業や中短期賃貸に参入。
  4. 2015年11月17日、不動産大手「アパマンショップHD」は、これまでの契約期間2年単位の長期型不動産事業だけでなく、契約期間1~12カ月の中期賃貸、および契約期間7~30日の短期賃貸事業への参入を発表しました。

  5. 航空券予約サイトSkyticketを扱う株式会社アドベンチャーが、民泊事業に参入。
  6. 2015年11月18日、航空券比較サイト「Skyticket」を扱う大手・株式会社「アドベンチャー」が、民泊事業への参入を発表しました。

  7. 世界最大のホテル予約サイトExpediaが大手民泊サイトHomeawayを買収。
  8. 2015年12月15日、世界最大手のホテル予約サイトに君臨する「Expedeia(アメリカ)」が、Airbnb(エアビーアンドビー)に次ぐ民泊大手サイト「Homeaway」を買収しました。

  9. 京王電鉄が合法民泊サイト「STAY JAPAN」を展開する百戦錬磨に10%の出資を行い、民泊事業参入。
  10. 2015年12月15日、鉄道会社大手である「京王電鉄」が、合法民泊だけを選りすぐったコンセプチュアルな国産民泊サイト「STAY JAPAN」の百戦錬磨に、10%の出資を行いました。STAY JAPANの動向(≒合法民泊の増加具合)によっては、出資だけに留まらず民泊事業への参入が検討されていくでしょう。

  11. シノケングループおよびプロパストが民泊対応型サービスの提供を発表。
  12. 2015年12月16日、「シノケングループ」は、民泊対応型マンションの開発、社有マンションの民泊運用などの民泊事業参入を発表しました。

  13. ホームステキュリティを扱う「Secual」が、民泊関連事業への融資に約6,000万円を調達。
  14. 2015年12月25日、ホームセキュリティサービスを扱う「セキュアル」が、航空券比較サイト「Skyticket」を運営する「アドベンチャー」、また賃貸住宅事業を扱う「AMBITION」に融資するための資金6,000万円を調達しました。

  15. マンション大手「大京」が民泊事業参入。
  16. 2016年1月29日、大手不動産企業「大京」が、大田区の民泊条例施行に合わせて京急蒲田駅近郊の住宅を購入し、民泊向けにリフォーム。

  17. 時間単位での場所貸しを行う「スペースマーケット」が民泊事業に参入。
  18. 2016年1月21日、1時間単位で場所の貸し借りができる仲介サイト「スペースマーケット」を運営する株式会社「スペースマーケット」が、民泊事業への参入を発表。英語サイトもリリースし、外国人向けに事業を拡大する方針を示しました。

  19. 航空券予約サイトを扱う「skyticket」が不動産事業社AMBITIONと民泊展開に向けて提携。
  20. 2016年2月4日、航空券予約サイト大手「skyticket」を運営する株式会社「アドベンチャー」が、株式会社「AMBITION」と民泊事業での業務提携を発表しました。

  21. 不動産大手「大東建設」が民泊サポートサービス「民泊Gateway」を開始。
  22. 2016年2月24日、不動産大手「大東建設」は、ホームステイ型民泊・家主不在型民泊それぞれの民泊ホストをサポートするサービス「民泊Gateway」を開始しました。

  23. プレステージ・インターナショナルが民泊代行事業に参入。
  24. 2016年3月9日、「プレステージ・インターナショナル」が、民泊の代行事業に参入することを発表しました。

    自治体への申請手続きや損害保険の加入、外国人旅行者との通訳代行など、従来の民泊代行業者よりも幅広いサポート内容を打ち出しています。

  25. 不動産事業を行うハウスドゥが民泊事業に向けてイー・旅ネット・ドット・コムと業務提携を検討。
  26. 2016年3月10日、不動産事業をフランチャイズで行う「ハウスドゥ」が、「イー・旅ネット・ドット・コム」と業務提携し、民泊事業に参入することを検討したと発表しました。

  27. 株式会社インベスターズクラウドが民泊代行業者「tateru bnb」を開始。
  28. 2016年3月14日、株式会社「インベスターズクラウド」が、フルサポート型の民泊代行事業に参入したことを発表しました。運用や清掃の代行だけでなく、民泊リノベーションまでをも請け負います。

  29. Travel.jpを運営するベンチャーリパブリックが民泊仲介サイトを横断検索できるサイトの開設を発表。
  30. 2016年4月1日、「Travel.jp」を運営する「ベンチャーリパブリック」が、複数の民泊仲介サイトを一括で横断検索できるサイトの開設を発表しました。

    これは旅行事業に強い大手ならではの民泊関連事業といえ、またその影響力も大きなものとなりそうです。

  31. 海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)がSTAY JAPANを経営する百戦錬磨に出資。
  32. 2016年4月21日、「海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)」が、「STAY JAPAN」を手掛ける株式会社「百戦錬磨」に3億円もの出資を決定しました。

    3 アパマンの動きに見る、民泊の大規模事業の行く末。

    民泊を事業として本格的に行っている事例。

    前トピックで紹介した民泊事業参入各社の中から、私たち日本人にとても馴染みのあるアパマンHDの動きを例に出し、これらの民泊大規模事業の行く末を占っていきます。

    3-1.2015年11月。アパマンHDは民泊事業と短期賃貸の事業に乗り出すことを発表。

    業績低迷に陥っていたアパマンHDが打ち出した次の一手は、民泊業界への参入でした。

    ただ民泊事業に乗り出すだけなら、「流行を追ったのだな」と失笑に付されたかもしれませんが、アパマンHDの声明を読むかぎり、ビジョンはとてもしっかりしています。

    アパマンHDが打ち出したのは、民泊事業だけでなく、契約期間1~12カ月の中期賃貸事業、そして契約期間7~30日未満の短期賃貸事業も併せてのものだったのです。これらは、敷金礼金を無料にしたり、退去費用を無料にしたり、家具家電を設置したりといった抜本的な改革を含んでいます。

    3-2.事実、時代の流れは敷金礼金不要の中・短期賃貸に傾いている。

    大抵の業種は、大手企業よりも中小企業のほうが先見の妙とフットワークがあり、先に近未来的展望を歩み始めます。

    賃貸業界においては、シェアハウスという概念が2000年初頭くらいから台頭しはじめており、自由な感性の若者たちを中心に、すでに敷金礼金を払わずに家具家電付きの物件を借りて暮らすスタイルが支持されているのです。

    大きな利益を得たい不動産業界大手は、シェアハウス的スタイルを無視し続けてきましたが、外国人観光客ならびに外国人移住者の増加に伴い中・短期希望者が増えたことも相まって、新形態への参入についに重い腰を上げました。

    3-3.アパマンサイトの多言語化も実は大きな進化。社会的意義は絶大。

    アパマンHDはこの時、併せてアパマンサイトのリニューアルも発表しています。その内容は、アパマン不動産サイトを英語、韓国語、中国語にも対応させるというもの。

    これまで不動産業界は、得体の知れない外国人に対して門戸を広げようとはしてきませんでした。外国人が日本で不動産を賃貸するのは、非常に難しいことだったのです。

    そこであぶれた外国人たちは、シェアハウスやAirbnb(エアビーアンドビー)など、利用敷居の低いカジュアルな住居を選んで賄ったわけなのですが、事実、シェアハウスやエアビーアンドビーのほうが圧倒的なまでにコストパフォーマンスが良いため、外国人・日本人問わず、不動産業界は顧客を失い始めています。

    ここでシェアハウスやエアビーアンドビーと対決することを選ばず、彼らのやり方に倣って敷居を下げたことは、社会的意義が非常に大きかったと言えるでしょう。

    3-4.アパマンなどの大手企業は、家主不在型民泊を席巻してしまう可能性がある。

    アパマンHDなどの大手企業、特に不動産関連や建設関連の大手企業は、資金力と不動産資産を豊富に持っているため、効率的な経営をしやすい強みがあります。

    1人の受付スタッフを置くだけで20の民泊部屋のチェックイン対応をこなしてしまえる可能性が、大手にはあるのです。これまで中小の投資家たちが1人1件の非効率的な人材登用で行っていた事業を1人20件に効率化するのですから、浮かせられる人件費は莫大であり、すると宿泊価格を大幅に下げることも可能なはずです。

    もし、効率化によって浮いたコストを宿泊価格の低下に還元するなら・・・家主不在型民泊・投機型民泊とくくられるタイプの事業民泊は、大手企業が席巻・独占してしまうでしょう。中小の民泊投機家はとても太刀打ちできず、軒並み淘汰されていきます。

    もともと、一人のゲストのために一人のチェックインスタッフがわざわざ派遣されて対応する必要性は無いため、この効率化はより安く泊まりたい宿泊利用者を中心に、広く大衆にとってのプラスに働くでしょう。

    民泊スタートアップnaviでは、エアビーアンドビーなど民泊の稼働ノウハウに留まらず、コラム記事についても充実した情報をお届けしています。民泊業界の動向が気になる方は、同一カテゴリーから気になる記事を探し、お役立てください。

    まとめ。

    民泊を事業として本格的に行っている事例。

    【最初に起こった民泊事業は、村おこしを目的とした農家民泊。】

    • 農家民泊は家単位ではなく、自治体が取り仕切っていることがもっぱら。
    • 農家民泊を仕切る組合の目的は、村おこしや地域の活性化。



    【民泊は巨大ビジネスになる!数多くの大手企業が民泊事業に参入。】

    1. エイブルが、合法民泊だけを扱う国産民泊サイト「TOMARERU」と業務提携。
    2. アパマンショップHDが民泊事業や中/短期賃貸に参入。
    3. 航空券検索サイトSkyticketを扱う株式会社アドベンチャーが、民泊事業に参入。
    4. 世界最大のホテル予約サイトExpediaが、民泊サイト大手Homeawayを買収。
    5. 京王電鉄が、合法民泊サイト「STAY JAPAN」を展開する百戦錬磨に10%の出資。
    6. シノケンGおよびプロパストが、民泊対応型サービスの提供を発表。
    7. ホームステキュリティを扱う「Secual」が、民泊事業への融資に約6,000万円を調達。
    8. マンション大手「大京」が民泊事業に参入。
    9. 時間単位での場所貸しを行う「スペースマーケット」が、民泊事業に参入。
    10. 航空券検索サイトを扱う「skyticket」が、不動産事業社AMBITIONと民泊展開に向けて提携。
    11. 不動産大手「大東建設」が、民泊サポート事業「民泊Gateway」を開始。
    12. プレステージ・インターナショナルが、民泊代行事業に参入。
    13. 不動産事業を行うハウスドゥが、民泊事業に向けてイー・旅ネット・ドット・コムと業務提携。
    14. 株式会社インペスターズクラウドが、民泊代行事業「tateru bnb」を開始。
    15. Travel.jpを運営するベンチャーリパブリックが、民泊仲介サイトを横断検索できるサイトを開設。
    16. 海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)が、STAY JAPANを経営する百戦錬磨に出資。



    【アパマンの動きに見る、民泊の大規模事業の行く末。】

    • 2015年11月。アパマンHDは民泊事業と中/短期賃貸の事業に乗り出すことを発表。
    • 事実、時代の流れは敷金礼金不要の中/短期賃貸に傾いている。
    • アパマンサイトの多言語化も大きな進化。社会的意義は絶大。
    • アパマンなどの大手企業は、ホスト不在型民泊を席巻してしまう可能性がある。

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