家庭に人を泊めてあげるサービスを指す民泊。誰でもできるカンタンなもののように思えますが、いざ実際に営業しようと思うなら、法規制の問題が頭をちらつきます。違法だ合法だ、グレーゾーンだと様々な意見が飛び交っている実情もあり、法的手続きをどう扱えばよいか戸惑っている人は少なくないことでしょう。

このページでは、民泊における営業許可や届け出について、詳しく解説していきます。

1 ホームステイ型民泊には営業許可は要らない!届け出はもうじき必要になる。

民泊運営に営業許可や届け出は必要なの?

民泊運営における営業許可の問題は、運営スタイルによって大きく変わってきます。ホームステイ型民泊の場合、宿泊代金や謝礼をもらっているとしても、「営業許可」は不要と考えて大丈夫です。

1-1.「営業許可を撤廃する方針がある」だけ。言及される可能性がないわけじゃない!

ホームステイ型の民泊については、法律や国の見解が曖昧で、統一されていないのが現状です。

とはいえ日本政府は、ホームステイ型民泊を営業許可無しで運営できるよう、規制緩和する方針を発表しています。警視庁もこの方針に同調しており、「ホームステイ型民泊の取り締まりを強化する予定は無い」と表明しているため、営業許可なしで運営していても、処罰されることはまず無いでしょう。

ただし、未来の展望が規制緩和なだけであって、現状はまだ、営業許可の無い民泊を違法と解釈される可能性はあります。

そのため、あなたが民泊トラブルなどを起こした際には、「営業許可が無い」ということを口実に営業停止や罰金などを受けてしまう可能性が、無いとは言い切れません。マナーの良い民泊受け入れを心掛けていきましょう。

1-2.民泊新法が発令されたら、「届け出」は必要となる。

法的手続きに関する事柄は、2017年に予定されている民泊新法の発令を機に、大きく変わります。

この法律は、これまで必要とされていた旅館業法上の営業許可を不要とする旨がすでに決定されているのですが、その代わりに「届け出」をすべての民泊ホストに課すことになりそうです。

届け出の内容については後述しますが、つまり、民泊ホストはお役所に行って手続きをするようなことが、少なからずは必要となります。あまり困難なものにはならない見通しなので、懸念する必要はありませんが、手続きが必要だということは頭に入れておいてください。

2 家主不在型民泊を営むなら、たくさんの営業許可が必要!

民泊運営に営業許可や届け出は必要なの?

次は、日本には多い家主不在型民泊の法的規制について解説していきます。

2-1.適用される法律は主に「旅館業法」と「特区民泊法」の2つ。

家主不在型民泊の場合、適用される法律は主に、「旅館業法(簡易宿所規約)」「特区民泊法」の2つです。このどちらかの営業許可を取得していないと、違法民泊ということになり、罰せられることとなってしまいます。

どちらを取得してもかまいませんが、旅館業法は特区民泊法よりも条件が厳しく、特区民泊法は認可取得できる地域が狭く限定されていますから、どちらを選ぶべきかは状況に応じて適宜判断してください。

2-2.旅館業法(簡易宿所)の営業許可の取得条件は?

民泊物件で旅館業法(簡易宿所)の営業許可を取得するには、どのような条件を満たす必要があるのでしょうか?

  1. ゲストルームの延床面積が、宿泊客1人あたり3.3㎡以上なければならない。
  2. ゲストルームに二段ベッドを設置する場合、上段と下段との間隔が1m以上なけれならない。
  3. 施設には、換気、採光、照明、防湿、排水における適切な環境がなければならない。
  4. 宿泊人員が入れる充分なサイズの浴室がなければならない。(近場に銭湯があれば免除可。)
  5. 宿泊人員に対する適切な数の洗面台がなければならない。(目安:宿泊者5人につき1つ以上。)
  6. 宿泊人員に対する適切な数のトイレがなければならない。(目安:宿泊者5人につき男性用1つ、女性用1つ、計2つ以上。)
  7. 施設の周囲100mに(大学以外の)学校、児童福祉施設、公民館、図書館、博物館、青少年育成施設が立地していてはならない。
  8. その他、各自治体の条例に従わなくてはならない。


  9. 旅館業法上の条件は上記のとおりですが、旅館業法の営業許可を取得するためにはさらに、他の法律に関する条件が付随してきます。

  10. 建築基準法の制約上、「住宅」から「旅館・ホテル」へと用途変更の手続きを行わなければならない。
  11. なお、建物の用途地域が「旅館・ホテル」の認められていないエリアであるなら、用途変更をすることはできない。
  12. 消防法の制約上、建物の規模に準じた然るべき消防設備(消火器や誘導灯、火災報知器など)を設置し、消防局から「消防法令適合通知」を貰わなければならない。

ここには書ききれませんが、8の「各自治体の条例」にも注意が必要です。自治体ごとに旅館業法営業許可に条件を設けており、環境保存、景観、排水などでも規定の条件を満たさなければなりません。また、そもそも民泊の営業を許可しない自治体も出てきています。

2-3.旅館業法の示す条件はガイドラインにすぎない。保健所によって示す条件が異なる!

実際に旅館業法の営業許可を取得するなら、準備をする前に必ず一度、保健所(旅館業法の営業許可を出しているのは保健所)に赴いてください。

というのも、実際の営業許可条件は、各地域の保健所によって微妙に異なるためです。自治体の条例を加味されるだけでなく、「適切な換気」や「適切な数のトイレ」などの判断が、自治体によって異なります。

2-4.特区民泊法の営業許可の取得条件は?

特区民泊法の営業許可取得条件はどのようになっているのでしょうか?

  1. 民泊施設の延べ床面積は、25㎡以上でなければならない。
  2. 出入り口および窓は、施錠できるものでなければならない。
  3. 出入り口および窓を除き、居室と他の居室、廊下などとの境は、壁作りでなければならない。
  4. 適当な換気、採光、照明、防湿、排水、暖房および冷房の設備を有していなければならない。
  5. キッチン、浴室、便所および洗面所を有していなければならない。
  6. 寝具、テーブル、いす、収納家具、調理のための器具・設備および清掃のための器具を有していなければならない。
  7. 特区民泊上の最低日数規定は2泊だが、かつ地域の条例の定める日数に従わなければならない。
  8. 業務内容の一部に宿泊事業を含んでいなければならない。
  9. 民泊営業を近隣に説明し、近隣からの苦情窓口を設置しなければならない。
  10. チェックイン時には滞在者の本人確認を行い、名簿を作成し、保管しなければならない(=事実上有人チェックイン対応)。
  11. 各ゲストの滞在中、少なくとも1回は、適切な使用がなされているか状況確認をしなければならない。
  12. チェックアウト時にも滞在者の本人確認を行わなければならない。
  13. 英語での施設案内(防災案内など含む)を徹底しなければならない。
  14. 消防法に適合していなければならない。
  15. 各自治体の条例にも適合していなければならない。

建物における条件は旅館業法よりも緩いのですが、チェックイン対応など接客面での条件は旅館業法よりも厳しいと言えそうです。

2-5.賃貸物件なら、賃貸オーナーからの営業許可が必要!

旅館業法、特区民泊法いずれの営業方法においても、それが賃貸物件であるなら、その賃貸オーナーからの営業許可も取得しなければなりません。いわゆる「使用承諾書」を発行してもらい、旅館業法や特区民泊法の営業許可申請の際に保健所に提出します。

一般的に賃貸物件は、転貸や民泊経営が禁止されており、この営業許可の取得も一筋縄ではいきません。近年は、「民泊許可物件」と称した転貸可能物件が増えてきていますが、それらの物件を新たに借りなおす必要があるでしょう。

なお、民泊許可物件は家賃や特殊手数料が高い傾向にあるのでご注意ください。

2-6.マンションなら、マンション管理組合からの営業許可が必要!

こちらも、旅館業法、特区民泊法いずれの営業方法でも必要なもので、賃貸オーナーからの営業許可よりもさらに取得ハードルが高いものです。

一般的にマンションなどの集合住宅では、ビジネス利用や宿泊施設運営は禁じられており、これを覆すためには管理組合総会の議題に掛け、マンション住民の3/4以上の賛成票を得なくてはなりません。

これは、家主のほとんどが投機民泊のオーナーをやっているようなマンションでもない限り、なかなか適うものではないでしょう。

2-7.結局のところ、投機型民泊の営業許可は取れないに等しい・・・。

トピック2をお読みいただいてすでに実感されたことでしょうが、結局のところ、投機型民泊の営業許可は、それが旅館業法のものであれ特区民泊法のものであれ、取得が非常に厳しいのが実情です。

そのため民泊代行業者や行政書士などが、「営業許可の取得を肩代わりします!」と民泊ホスト志望者に誘いかけるのですが、上記のうちのすべての営業許可が取得できているケースは極めて稀です。日本市場に合法民泊が100件も存在していないのは、こうした理由からきています。

投機型民泊のオーナーたちは、常に通報やトラブル発生の懸念におびえながら、胃の痛い思いをして経営しなければなりません。民泊での交流に興味があるわけではなく、単純に何か投資事業が行いたいだけなら、他の事業を選んだほうが賢明でしょう。

3 民泊新法が始まったら、どのように届け出をすればよいの?

民泊運営に営業許可や届け出は必要なの?

民泊新法が発令されたなら、ホームステイ型民泊にせよ家主不在型民泊にせよ、「届け出」を出すだけで合法のもとに民泊を営めるようになります。

3-1.営業許可の取得は不要でも、守らなければならない条件はある。

民泊新法の場合、設備の改修・充実や厳しい審査を受ける必要性はないのですが、かといって守らなければならない条件はあります。

  1. 一定の要件を満たさなければならない。(一定の要件:年間営業日数が90~180日程度の上限に制限され、宿泊定員が4~8人程度に制限される見込み。)
  2. ゲスト滞在中は常にホストファミリーが同居していなければならない。または家主不在型民泊の場合、民泊施設管理者に業務を委託しなければならない。
  3. 宿帳を作成・保存しなければならない。(外国人ゲストの場合、パスポートのコピーの保存も必須。)
  4. 最低限の掃除・整頓をしなければならない。
  5. 民泊ゲストに対してハウスルールの説明をしなければならない。
  6. 表札などを掲示し、近隣住民に民泊経営を告知しなければならない。
  7. 近隣住民からの苦情受付窓口を設けなくてはならない。
  8. 民泊施設に法令・規約・管理規約違反などがないか、常に顧みなければならない。

3-2.規定の条件に基づいて営業したうえで、届け出を出しにいこう。

民泊新法が発令されたなら、届け出を出しにいく必要があります。届け出の窓口は各自治体の役所が予定されているので、そう遠出をする必要はないでしょう。

なお、「届け出」は営業許可とはまったく異なるもので、婚姻届けや住民票などと同じように、ただあなたの住所や名前を書いて提出し、データ登録してもらうだけの作業にすぎません。

これであなたも、合法のお墨付きのもと、安心して民泊を営むことができますね。

3-3.民泊新法のもとでも、賃貸オーナーやマンション管理規約の営業許可は必要!

1つ注意しなければならないことがあります!

民泊新法の場合、延べ床面積やトイレの数などの条件は存在しないのですが、しかし賃貸オーナーやマンション管理規約からの制限を無視してよいわけではありません!

一軒家かつ持ち家の場合は問題ありませんが、賃貸や集合住宅である場合、当該の規約を必ず確認し、営業許可を取得してください。

民泊スタートアップnaviでは、民泊にまつわる難解な法規制についても、わかりやすく詳しく解説しています。法規制についてもっと知りたいことがあるなら、同一カテゴリーから気になる記事を開き、お役立てください。

まとめ。

【ホームステイ型民泊には営業許可は要らない!】
・「営業許可を撤廃する方針がある」だけで、無許可状態を言及される可能性がないわけではない。
・民泊新法発令後は、「届け出」は必要。

【家主不在型民泊の場合、数々の営業許可が必要!】
・適用される法律は主に、旅館業法と特区民泊法。
・旅館業法(簡易宿所)の営業許可の条件。

  1. 客室の延床面積は宿泊客1人あたり3.3㎡以上。
  2. 客室に二段ベッドを設置する場合、上段と下段との間隔は1m以上。
  3. 施設には、換気、採光、照明、防湿、排水における適切な環境が必要。
  4. 宿泊人員が入れる充分なサイズの浴室が必要。
  5. 宿泊人員に対する適切な数の洗面台が必要。
  6. 宿泊人員に対する適切な数のトイレが必要。
  7. 施設の周囲100mに(大学以外の)学校、児童福祉施設、公民館などの公共施設が立地していてはならない。
  8. その他、各自治体の条例に従う。
  9. 建築基準法に基づき、「住宅」から「旅館・ホテル」へと用途変更が必要。
  10. なお、建物の用途地域が「旅館・ホテル」の認められていないエリアでは用途変更はできない。
  11. 消防法に基づき、然るべき消防設備が必要。

・特区民泊法の営業許可の条件。

  1. 施設の延べ床面積は25㎡以上。
  2. 出入り口および窓は、施錠できるもの。
  3. 出入り口および窓を除き、境は壁作りであること。
  4. 適当な換気、採光、照明、防湿、排水、暖房、冷房の設備が必要。
  5. キッチン、浴室、便所、洗面所が必要。
  6. 寝具、テーブル、いす、収納家具、調理のための器具・設備、清掃のための器具が必要。
  7. 特区民泊かつ地域の条例の定める日数に従わなければならない。
  8. 業務内容の一部に宿泊事業を含んでいること。
  9. 民泊営業を近隣に説明し、近隣からの苦情窓口を設置する。
  10. チェックイン時には滞在者の本人確認を行い、名簿を作成し、保管する。
  11. ゲスト滞在中、少なくとも1回は、適切な使用がなされているか状況確認をする。
  12. チェックアウト時にも滞在者の本人確認を行う。
  13. 英語での施設案内(防災案内など含む)を徹底する。
  14. 消防法に適合させる。
  15. 各自治体の条例にも適合させる。

・賃貸物件なら賃貸オーナーからの営業許可も必要!
・マンションならマンション管理組合からの営業許可も必要!
・結局のところ、投機型民泊の営業許可取得は不可能に等しい・・・。

【民泊新法が始まったら、どのように届け出をすればよいの?】
・営業許可の取得は不要だが、守らなければならない条件はある。

  1. 一定の要件を遵守。(一定の要件:年間営業日数が90~180日程度に制限され、宿泊定員が4~8人程度に制限される見込み。)
  2. ゲスト滞在中は常にホストが同居する。または家主不在型民泊の場合、民泊施設管理者に業務を委託する。
  3. 宿帳を作成・保存する。(外国人ゲストの場合パスポートのコピーの保存も必須。)
  4. 最低限の掃除・整頓をする。
  5. 民泊ゲストにハウスルールの説明をする。
  6. 表札などを掲示し、近隣住民に民泊経営を告知。
  7. 近隣住民からの苦情受付窓口を設け、対応。
  8. 法令・規約・管理規約違反などがないか、常に顧みる。

・上記の条件に基づいて営業したうえで、役所に届け出を出す。
・新法民泊のもとでも、賃貸オーナーやマンション管理規約の許可は必要!

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